1829年から1837年にかけて、米国でCapped Bustと呼ばれる5セント銀貨が発行されました。リバティーキャップ(帽子)をかぶっているのが特徴です。
5セント銀貨の外観
コインのスペック
- 額面:5セント
- 年号:1834年
- 材料:銀
- 直径:16mm
- 重量:1.35g
- グレード:UNC
5セント銀貨ですから直径も重量も小さいですが、羽根のデザインまでしっかりと作り込んでいます。
リバティーキャップ
女性がかぶっている帽子はリバティーキャップと呼ばれ、文字通り自由を象徴しています。そして、この帽子は元々フリージア帽と呼ばれ、その起源は紀元前600年代まで現在のトルコで栄えた国(フリージア)まで遡ります。
なぜその帽子がアメリカのコインに描かれるようになったのか、そして本来はリバティーキャップはフリージア帽ではなかったという話など、下のリンクでご確認いただけます。
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リバティーキャップ(フリージア帽)
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発行枚数
下の表のとおり、発行枚数自体は多いですが発行期間は限られています。このため、全年号についてグレードが高いコインを集めやすいでしょう。
- 1829年:1,230,000枚
- 1830年:1,240,000枚
- 1831年:1,242,700枚
- 1832年:965,000枚
- 1833年:1,370,000枚
- 1834年:1,480,000枚
- 1835年:2,760,000枚
- 1836年:1,900,000枚
- 1837年:871,000枚
米国の国土や国旗
コインの表面には星が13個描いてあり、これは米国が独立した時の13州を示しています。1834年にコインが発行されており、すでに州の数は増えていましたが、13州は別格だったことが分かります。
1834年当時のアメリカ合衆国の地図は下の通りです。ピンク色が州で、茶色はアメリカ合衆国の一部ですが州になっておらず、灰色は外国です。そして紫は領土をめぐって争っていた地域です。
画像引用:Wikipedia
現在のアメリカ合衆国と比べて領土はとても小さく、あちこちで紛争をしていたことが分かります。また、メキシコの巨大さが目に留まりますし、アラスカはロシア領ですし、今とは全く違う世界が広がっていました。
このため、国旗のデザインも今と異なります。星の数は州の数に合わせて20になっています。赤と白の横線は全部で13本描いてあり、やはり13州は別格です。
画像引用:Wikipedia