今回は、スイス・バーゼルの1ダカット金貨(1775年発行)を紹介します。
コインの外観
画像引用元:(株)ダルマ
コインのスペック
- 額面:1ダカット
- 年号:記載なし(1775年)
- 材料:金
- 直径:23mm
- 重量:3.32g
- グレード:PL FDC
表面のデザイン
この金貨は、1775年に発行されました。記念貨でなく通常貨ですからFDCで出てくるのはハードルが比較的高く、しかもプルーフライクです。
表面に竜のような絵がありますが、これは竜でなくバシリスク(basilisk)です。バシリスクとは鶏の頭を持つ蛇で、想像上の生き物です。
蛇の胴体を持っていても所詮は鶏。と思いきや、毒は吐くし見たものを石化するし、さらにバシリスクが見ただけで見られた人は息絶えてしまうという、とんでもない生き物です。
画像引用:Wikipedia
コインでは、このバシリスクがバーゼルの紋章を抱えている構図が採用されています。バーゼルの紋章は下の通りで、これは司祭の杖をデザイン化したものです。
画像引用元:Wikimedia
バシリスクがバーゼルの紋章を抱えている理由は、バーゼルの象徴がバシリスクだからです。では、この2つにどんな関係が…?と調べると、諸説あってよくわからないようです。
分かりやすい理由としては、表記が似ているという点があります。バシリスクは「basilisk」、そしてバーゼルのイタリア語表記は「Basilea」。確かに似ています。ただ、これが理由なのかどうかはよくわかりません。バシリスクがバーゼルに住んでいたという言い伝えもあります。
コインの周囲にはラテン語が書いてあり、「DOMINE CONSERVA NOS IN PACE」です。「神の御加護により平和が保たれる」という趣旨の言葉です。
裏面のデザイン
裏面はコインの周囲が飾ってあり、その内側に「DUCAT・REIPUBL・BASILEENSIS」とあります。「バーゼル 1ダカット」という趣旨です。
バシリスクのコイン収集
バーゼルの古い金貨・銀貨を見ますと、バシリスクと紋章という組み合わせが数多くあります。そして、よく見るとデザインが少しずつ異なっています。バシリスクが右を向いていたり、左を向いていたり。
竜のような姿形で格好良い作りになっていますので、このシリーズを収集するのも面白そうです。